ビールの醸造期間はどれくらい?種類ごとの違いや熟成のポイントを解説!

ビールの豆知識
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Mina

BierMe運営者。
クラフトビールの奥深さにハマり、ビール検定2級取得。
好きなビアスタイルはベルジャンホワイトとヴィツェン

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私たちが日常的に楽しんでいるビールは、どれくらいの時間をかけて作られているのでしょうか。ビールの醸造には、麦芽を糖化する「仕込み」、発酵を行う「ファーメンテーション」、風味を整える「熟成」など、さまざまな工程があります。その期間はビールの種類によって異なり、短いもので2週間、長いものでは数ヶ月以上かかることもあります。

本記事では、ビールの醸造期間とその違い、さらには醸造期間を短縮する最新技術について詳しく解説していきます。ビールの背景を知ることで、より一層味わい深く楽しめるようになるでしょう。

ビールの醸造期間とは?

ビールが完成するまでには、いくつかの工程を経る必要があります。麦芽を糖化し、ホップを加えて煮沸し、酵母による発酵を経て熟成されることで、ようやく飲み頃のビールが出来上がります。醸造期間は、ビールの種類や製法によって異なり、短期間で仕上がるものもあれば、数ヶ月以上熟成させるものもあります。ここでは、ビールが完成するまでに必要な時間や、ビールの種類による醸造期間の違いについて詳しく解説します。

ビールが完成するまでにかかる時間

ビールの醸造には、仕込み・発酵・熟成といった複数の工程があり、一般的に完成までに2〜6週間かかります。ビールの種類や醸造方法によって期間は異なりますが、基本的には以下のような流れで進みます。

  • 仕込み(1〜2日)
    麦芽を粉砕し、お湯と混ぜて糖化させた後、ホップを加えて煮沸します。
  • 発酵(1〜3週間)
    酵母を加え、アルコール発酵を行います。エールは常温で短期間、ラガーは低温で長期間発酵させます。
  • 熟成(1〜4週間)
    発酵後のビールを安定させ、風味を整えるために熟成させます。熟成期間が長いほど、まろやかな味わいになります。
  • 瓶詰め・樽詰め(数日)
    完成したビールを瓶や樽に詰め、出荷前に最終調整を行います。

このように、ビールの醸造は単純な作業ではなく、各工程に必要な時間をしっかり確保することで、美味しいビールが仕上がります。

ビールの種類による醸造期間の違い

ビールの種類によって、発酵の温度や方法が異なるため、醸造期間にも違いが生じます。特に、ラガービールとエールビールでは発酵温度が異なるため、完成までの時間に差が出ます。

  • ラガービール(4〜6週間)
    ラガービールは低温(約5〜10℃)で発酵させるため、発酵や熟成に時間がかかります。低温発酵によって雑味が少なく、スッキリとしたクリアな味わいのビールが仕上がります。ピルスナーやヘレスなどのラガー系ビールは、この方法で醸造されます。
  • エールビール(2〜3週間)
    エールビールは常温(約15〜25℃)で発酵させるため、ラガービールよりも短期間で完成します。発酵が速いため、フルーティーな香りが特徴のビールになりやすく、IPAやペールエール、ヴァイツェンなどのビールが該当します。

ラガービールとエールビールは、発酵方法が異なることで味わいや醸造期間にも影響を与えます。エールは比較的短期間で仕上がるため、小規模ブルワリーやクラフトビールメーカーが多く採用しています。一方で、ラガービールは熟成期間が長いため、大量生産に向いており、大手ビールメーカーが主に製造しています。

ビールを飲む際には、こうした醸造期間の違いを知ることで、より深く味わいを楽しむことができるでしょう。

ビールの醸造工程と所要期間

ビールが完成するまでには、複数の工程を経る必要があります。原料の処理から発酵、熟成、瓶詰めまで、それぞれのステップには適切な時間が必要です。醸造期間はビールの種類や製造方法によって異なりますが、一般的なビールの製造には約2〜6週間かかります。ここでは、各工程とそれに必要な期間について詳しく見ていきましょう。

仕込み(マッシング・ボイル):1日〜2日

仕込み工程は、ビールのベースとなる麦汁を作る重要なプロセスです。まず、麦芽を粉砕し、お湯と混ぜて加熱することで、麦芽のでんぷんを糖に変える「マッシング(糖化)」を行います。この糖が、後の発酵工程で酵母によってアルコールへと変換されます。

糖化が完了すると、次に「ボイル(煮沸)」の工程に移ります。煮沸の目的は、殺菌と麦汁の濃縮、そしてホップを加えてビールに特有の香りや苦味をつけることです。ホップを投入するタイミングや種類によって、ビールの風味が大きく変わります。

  • マッシング(糖化):60〜70℃の温度で1〜2時間加熱し、麦芽のでんぷんを糖に変える
  • ボイル(煮沸):約1時間煮沸し、ホップを加えて香りや苦味を調整する

この仕込み工程が終わると、麦汁を冷却し、発酵タンクへと移されます。

発酵(ファーメンテーション):1〜3週間

発酵は、酵母が糖を分解し、アルコールと炭酸ガスを生み出す工程です。ビールの発酵には「エール(上面発酵)」と「ラガー(下面発酵)」の2種類があり、それぞれ適した温度や発酵期間が異なります。

エールビールの発酵(1〜2週間)

エールビールは15〜25℃の高温で発酵を行うため、比較的短期間で完成します。発酵が活発なため、フルーティーな香りが生まれやすく、ペールエールやIPA、ヴァイツェンなどに適した方法です。

ラガービールの発酵(2〜3週間)

ラガービールは5〜10℃の低温でゆっくりと発酵させるため、時間がかかります。この低温発酵により、雑味が少なく、スッキリとしたクリアな味わいのビールが仕上がります。代表的なビールにはピルスナーやヘレスなどがあります。

発酵期間が終わると、ビールは熟成工程へと進み、風味を整えるための時間が必要になります。熟成の長さによって、ビールの味わいや飲み口が大きく変わるため、次の工程も重要なポイントとなります。

熟成(コンディショニング):1〜4週間

熟成工程では、ビールの味を落ち着かせ、風味を整えます。この段階で炭酸ガスの調整も行われ、最終的な飲み口が決まります。

エールビールの熟成(1〜2週間)

エールは発酵期間が短いため、熟成期間も比較的短く、1〜2週間ほどで飲み頃になります。IPAやペールエールなどは、この短期間で風味が完成します。

ラガービールの熟成(2〜4週間)

ラガービールは発酵が低温でゆっくり進むため、熟成にも時間がかかります。長期間熟成させることで、雑味が抜けてスムーズな味わいになります。ピルスナーやドルトムンダーなどのラガー系ビールは、熟成期間が長いほど品質が向上します。

熟成が完了すると、ビールは瓶詰めや樽詰めの工程に移ります。

瓶詰め・樽詰め・炭酸調整:数日

最終工程では、完成したビールを瓶や樽に詰めて出荷の準備を行います。この際、炭酸ガスの調整や、酵母の残存量をコントロールすることが重要です。

  • 炭酸ガスの調整
    一部のビールは瓶内二次発酵を行い、自然に炭酸を生成しますが、大量生産のビールは人工的に炭酸ガスを加えることで均一な品質を保ちます。
  • ろ過と殺菌
    商品によっては、ろ過して酵母を取り除いたり、熱処理を加えて安定性を向上させることもあります。
  • 最終チェックと出荷
    ビールが適切に仕上がったかを確認し、パッケージングして出荷します。

醸造期間が異なるビールの種類

ビールは種類によって醸造期間が異なります。発酵方法や熟成の必要性に応じて、短期間で完成するビールもあれば、数ヶ月以上熟成させるビールもあります。ここでは、醸造期間の違いによるビールの種類を詳しく紹介します。

短期間でできるビール

短期間で完成するビールは、発酵が活発に進む高温発酵(上面発酵)のエール系が中心です。発酵が1〜2週間で完了し、熟成期間を含めても2〜3週間ほどで仕上がります。比較的フレッシュでフルーティーな香りが特徴のビールが多く、クラフトビールにもよく採用されています。

  • ペールエール:モルトの甘みとホップのバランスが取れたエールビール。発酵期間が短く、2〜3週間で完成する。
  • IPA(インディア・ペール・エール):ホップを多く使用し、苦味と香りが強いビール。2〜3週間で仕上がるが、熟成を長めにするとホップの風味が落ち着く。
  • ヴァイツェン:小麦を使ったフルーティーなビール。酵母が活発に働くため、発酵期間が短く、2〜3週間で飲み頃になる。

これらのビールは、短期間でも十分に風味豊かに仕上がるため、自家醸造でも人気のスタイルです。

長期間熟成が必要なビール

熟成が必要なビールは、低温発酵(下面発酵)のラガービールや、モルトの風味をしっかりと引き出すスタウトなどが該当します。熟成期間が長いほど、味わいがまろやかになり、バランスの取れたビールになります。

  • ラガー:低温でじっくり発酵・熟成させるため、4〜6週間ほどの醸造期間が必要。ピルスナーやドルトムンダーなどが代表的。
  • スタウト:濃厚な味わいを持つ黒ビール。モルトの深みを引き出すために4週間以上の熟成が望ましい。
  • バーレーワイン:アルコール度数が高く、ワインのような濃厚な味わいを持つビール。熟成期間が数ヶ月以上かかることもある。

これらのビールは、時間をかけることでより深みのある味わいを楽しめるため、クラフトビールの醸造所でもじっくりと仕込まれることが多いです。

特殊な長期熟成ビール

一部のビールは、特別な発酵方法や熟成技術を用いて、数ヶ月から数年にわたって熟成されるものもあります。時間をかけることで、独特の風味や複雑な味わいが生まれます。

  • ランビック:ベルギー発祥の自然発酵ビール。野生酵母を使い、木樽で1〜3年熟成される。酸味が強く、フルーツと合わせたバリエーションも多い。
  • アイスボック:ドイツの伝統的なビールで、凍らせてアルコール分を濃縮する手法を用いる。長期熟成させることで深みのある味わいに仕上がる。
  • オールドエール:数ヶ月から1年以上熟成されるビール。熟成によってカラメルのような甘みや、ウイスキーのような複雑な風味が生まれる。

これらのビールは、熟成を重ねることで特別な味わいを生み出し、希少性の高いものも多く存在します。

ビールの醸造期間は、スタイルによって大きく異なります。短期間で楽しめるフレッシュなビールから、じっくりと熟成させて味わい深くなるビールまで、自分の好みに合わせて選ぶ楽しみがあるのも、ビールの魅力のひとつです。

ビールの醸造期間を短縮する工夫

ビールの醸造には通常2〜6週間の時間がかかりますが、技術の進歩により、より短期間で仕上げる工夫が進んでいます。特にクラフトビール業界では、発酵方法の最適化や最新の醸造技術を活用することで、品質を維持しながら製造期間を短縮する方法が導入されています。ここでは、ビールの醸造期間を短縮するための主な工夫を紹介します。

高温発酵の活用

ビールの発酵期間を短縮する方法のひとつとして、高温発酵が挙げられます。発酵温度を高めることで、酵母の活動を活発化させ、発酵を短期間で完了させることができます。

エールビールは発酵期間が短い

エールビールは15〜25℃の高温で発酵を行うため、ラガービールに比べて短期間で完成します。発酵が活発に進むため、一般的に1〜2週間で発酵が完了し、その後の熟成期間も1〜2週間ほどで仕上がります。ペールエールやIPA、ヴァイツェンなどは、この方法で醸造されることが多いです。

ラガービールも温度調整で発酵を早めることが可能

低温発酵が特徴のラガービールですが、発酵温度を若干上げることで発酵期間を短縮できます。ただし、温度を上げすぎるとラガービール特有のスッキリした味わいに影響を与えるため、慎重な管理が必要です。

炭酸ガスの人工注入

ビールの炭酸ガスは、発酵中に酵母が糖を分解することで自然に発生しますが、瓶内二次発酵や熟成を待たずに炭酸ガスを強制的に注入する方法もあります。これにより、熟成期間を短縮し、短時間で炭酸が整ったビールを出荷することが可能になります。

瓶内二次発酵 vs. 人工炭酸注入

伝統的な方法では、瓶詰め後に少量の糖分と酵母を加え、瓶内で再発酵させることで自然な炭酸ガスを生成します。しかし、この方法は炭酸が安定するまで数週間かかります。
一方、大規模な商業ビールでは、タンク内でビールに炭酸ガスを直接注入することで、短期間で発泡性を確保できます。この方法は、炭酸濃度を均一に保てるというメリットもあります。

クラフトビールにも導入されつつある技術

近年、一部のクラフトビールメーカーでも、短期間でビールを提供するために人工炭酸注入を活用しています。特に大量生産を目的としたクラフトビールでは、品質を保ちながら製造スピードを上げるための手段として採用されています。

クラフトビール業界の最新技術

クラフトビール業界では、新しい醸造技術の導入により、品質を維持しつつ醸造期間を短縮する取り組みが進んでいます。

高速発酵酵母の活用

近年、発酵速度が速い酵母が開発され、短期間でビールを完成させることが可能になっています。特にエールビール向けの高速発酵酵母は、従来の発酵期間を1週間ほど短縮できるケースもあります。

最新の温度管理システム

発酵タンクの温度を精密にコントロールすることで、最適な発酵環境を維持しながら、発酵期間を短縮できます。温度管理の精度が上がることで、短期間でも高品質なビールを製造できるようになっています。

モジュール型醸造設備の導入

従来の大規模な醸造設備とは異なり、モジュール型の醸造設備を活用することで、工程ごとの最適化が可能になっています。これにより、発酵や熟成のスピードを調整しやすくなり、短期間での製造が実現されています。

このような技術革新により、従来の2〜6週間という醸造期間を短縮しながらも、風味や品質を維持したビールが生産されるようになっています。今後も新しい技術が導入され、より効率的なビール醸造が進化していくでしょう。

ビールの醸造期間を知って、より深く楽しもう

ビールの醸造期間は、スタイルや製造方法によって異なります。エールビールのように短期間で発酵が完了するものもあれば、ラガービールのように長期間熟成されるもの、さらにはランビックやバーレーワインのように数ヶ月から数年かけて仕上げるものまでさまざまです。

また、近年では醸造技術の進化により、従来よりも短期間で高品質なビールを生産する試みが進んでいます。高温発酵の活用、炭酸ガスの人工注入、高速発酵酵母の導入など、効率的な製造方法が確立されつつあります。

ビールの醸造期間や製造工程を知ることで、普段飲んでいるビールの背景にある技術やこだわりをより深く理解できるようになります。次にビールを飲む際には、そのビールがどれくらいの時間をかけて作られたのか、どのような製法が用いられているのかを意識してみると、より一層楽しめるでしょう。